2013.05.12
響きを楽しめるテクニック教本~大人の方にも
ピアノの上達には、テクニックの基礎をつけていくことがどうしても必要です。
そんな単調になりやすい基礎練習もメロディックな響きを味わいながら、練習してみませんか。
テクニックをつける練習の教本はいろいろありますが、ここでは古くからある「ピアノの練習ABC」を取り上げてみました。
バイエルなどの初級が終了してツェルニー30番程度の中級に移行するまでの間によく使用しています。「ブルグミュラー25の練習曲」などと併用して使います。
お子さんだけでなく年齢が少し大きくなって始めた方や大人の初心者の方のレッスンにも向いているようです。
この教本はフランスの作曲家 ラ・クーペ(1811~1887)という人の作曲した25番からなる練習曲です。ドイツ系の教材のツェルニーなどには見られない響きが美しく、メロディーが明るく楽しい曲が多いので単純な指の練習だけに終わらない効果があります。
AからZまで25曲、どの曲も親切に7小節の「予備練習」が載せてあり、それをきちんとこなしてから練習曲に入るようにされています。
例えばただの音階練習も機械的ではなくブレスの取り方やフレーズを「うたう」ということにも重点がおかれています。
以前、とてもよく練習してくる小3の生徒さんの例です。
この女の子は譜をきちんと正確に弾くことができ、指も回り、強弱も譜面どおりにはつけられるのですが、ブルグミュラーなどの曲をフレーズを感じて弾く「うたう」ということが、どうも苦手でした。
よい教本をさがしていたところ、娘のピアノの先生が使用されていたこの「ピアノの練習ABC」をツェルニー100番を中断して使ってみました。
特に手首を柔らかく使うことや、フレーズを感じること、間のブレスをきちんと感じて取りながらメロデイーを弾くという、「うたう」ことに重点をおいた練習をしていきました。
音階練習も音の羅列だけでなくそのあたりに重点を置いている本なので、まずはじめの段階で音階が美しく音楽的に弾けるようになり、だんだんと、曲のフレーズを「うたう」という要領がつかめてきました。
その後、順調に「ツェル二ー30番」にすすみ、ソナチネやモーツァルトソナタ、ロマン派小品、ショパンのワルツなどを練習し高校生まで、ピアノを楽しみながら、続けていきました。ディズニー曲の「美女と野獣」や「星に願いを」などもとても素敵にその頃、弾きこなしていました。
この教本は、音をきちんと読むことは得意でも、音楽的にフレーズを「うたう」ことが不得意な方が学習するのに向いた教材だともいえます。ジュニア用の楽譜も出版されていて、身長のまだ低いお子さんでも見やすい横開きの本です。
少しでも楽しく必要なテクニックが身に付いていけるように生徒さんに合わせて、これからも、新しい教材と共に昔からある良い教本も取り入れていきたいと思います。