2014.03.09
最近のレッスンから
3月になったというのに、まだまだ寒い日が続いています。
生徒さんたちは春休みが待ち遠しい頃でしょうか。
このところ、2月のリトル音楽会から家での練習量が増えた生徒さんが多くなりました。
前へ進みたいという意欲が出てきたことはとても良いことだと思います。
人前での演奏経験や、お互いの演奏を聴くことは、自分の出す音にも意識を持つようになる良い機会です。
幼ないお子さんでも自分の奏でる音がどんな音なのか意識をもって練習する習慣がついてくると、
音楽的な表現がだんだんと出来るようになってきます。
間違わずに弾くことだけの練習に集中してしまいがちで、これはなかなか難しい事なのですが、
初めはお子さんがイメージのしやすい曲でその曲にふさわしい音はどんな音なのかを考えてもらいます。
強い、弱いだけでなく、楽しそうなのか、悲しそうなのか、元気そうか、ふんわりしているかなど、
短い曲でも常にイメージを大切に、出す音に注意を向けて弾く、そういう事を考えながら弾ことが「楽しい」と感じること・・・
それを「苦」や「無関心」としてしまわないことが、上達の近道だと生徒さんたちを見ていて、感じます。
先日、ぴあのどりーむ4の「森のはる」という曲をレッスンしている小学生の生徒さんが、
「この曲は春じゃなくて夏っていう感じがするのに…」と話し、少し自分のイメージと題名が違うことに戸惑ったような表情でした。
全体を通してスタッカートで音を切って快活に右手のメロディが進んでいく曲なので、明るく活動的な「夏」を感じたのでしょう。
そこで、スタッカートの弾き方でも指先だけの表情のない堅い音なのか、3拍子のワルツの拍子を感じながらの手首を使ったスタッカートなのか、短いフレーズにもいろんな例を弾いて、テクニックや音色からもどんなふうに弾くと「春」にふさわしいか考えてもらいました。
それでもなお、自分の中にある、イメージというものは、そのお子さんにとって、簡単に変えられるものではない様子でした。
結果的に、季節にこだわらない森の生き物や自然の明るさ、躍動感を想像しながら、重くならないスタッカートで生き生きした3拍子を感じて練習していくことになりました。もうすぐ、仕上がって、軽やかな演奏を聞かしてくれることでしょう。
「冬」から「春」に森の緑や花々が変化していく生き物の躍動感を表現した曲だと大人は、固定観念的に押し付けてしまいがちになります。しかしお子さんは小さいほど、その時に感じたものを、表現してくれるのです。
その年齢の時どきに感じるイメージや気持ちを大切に持ちながら、ピアノに向かう事は、素晴らしいことだと思います。大人に近づくほどに、人生のいろいろな体験や、学んだことから、作曲家の意図したものを感じて、表現しようと考えます。
イメージを持ち近づくよう努力する、そういうことを感じ、考えるようになってもらうレッスンでありたいと常に思います。
オーケストラや色々な楽器の音色を想像することもヒントになります。
先生との連弾で、フレーズの流れ、ハーモニーの美しさなどを体験してもらうことも表現力をつけていく練習になり取り入れています。生徒さんたちは連弾が好きです。
また、そのような表現ができるための、テクニック練習をいかに継続的に苦にならずに練習していくか・・・音符を読む初期の導入から、だんだんとこのような練習に移行していく多くの生徒さんたちにも、それが、イヤという気持ちにならないレッスンを心がけることも大切なことだと感じています。
しかし、年齢にかかわらず、一つ一つの努力をコツコツ重ね自分の表現が出来るように到達していくことこそ、
ピアノを弾く本当の楽しさなのだと思います。